あごの大きさというのは、遺伝ということも考えられますが、そもそも歯並びが悪くなるのは、私たち現代人にとって宿命のようなものです。
木の実や肉や魚を生で食べていた古代の人たちに、悪い歯並び(不正咬合)の人は一人もいませんでした。
縄文時代の人たちの、あのガッチリしたあごを見ればわかるでしょう。
親知らずも含めて、永久歯32本が全部、あご骨にきっちり並んでいたのです。
ところが現代人の3人に1人は親知らずが生えてこないといわれています。
生えてきても歯列からはずれてくることがほとんどで、その歯を咀嚼(そしゃく)に使っている人は数えるほどしかいません。
なぜかといえば、
柔らかく煮炊きしたものばかり食べているので、あごがどんどん小さくなっているからです。
硬いもの、噛み切りにくいものは、しっかり歯を食いしばり、何度も何度も噛んですりつぶさなければ食べられません。
それだけであごは大きく成長するのです。
ところが、
柔らかいものばかり食べてあまり噛まないと、あごが発達する余地がありません。
狭くて華奢な「く」の字型のあごになってしまい、そこに32本の歯が並び切らなくなってしまいます。
とりわけ、現代人は乳児のときから十分な栄養を得て、歯が大きくなっているので、あごの骨の大きさに対して歯の大きさが過大になり歯が並ぶための充分なスペースが得られないため、ガタガタの歯並び
叢生(そうせい)となるケースがあります。
ほかの歯と重なって生える
乱杭歯(らんぐいし)になったりもします。
また中には、歯が垂直ではなく、斜めに生えている人もよく見かけます。